KIRARA REPORT きらら通信

2023.7月号vol.99 アトピー性皮膚炎の痒みの原因解明 

きらら通信

1月に、佐賀大学医学部の出原賢治教授らによって、アトピー性皮膚炎の痒みの原因を解明とともに、その阻害剤を発見されたという研究成果が公表されました。

アトピー性皮膚炎とは、本来寄生虫など人体にとって有害になるものに対する免疫機能が、食べ物などそれほど有害でないものにも過剰に反応してしまう病気です。

研究では、アトピー性皮膚炎による痒みの原因は、タンパク質の一種であるペリオスチンという成分が体内で過剰に作られることを解明しました。

また、このペリオスチンが直接知覚神経を刺激することで、かゆみの刺激が脳に伝わり、“かゆい”と認識して皮膚をひっかく行動を起こすというメカニズムを明らかにし、「CP4715」という化合物を投与することで、アトピー性皮膚炎の痒みを治療する薬剤になる可能性があることも公表しています。

出原賢治教授は、30年近くアレルギーの研究を行っており、そのモチベーションは、痒みによって大きなストレスを抱えながら日常生活を送る子供の姿だったと言われています。

健康を守る医療とは、ただ単に命を救うということだけではなく、毎日の生活を安心して過ごすことができるようにサポートしていくことと感じます。